昨年の年末の移動中に読んだ本にこんなことが書いてあった。
モチベーションとは
- 達成
- 快楽
- 没頭
- 良好な人間関係
- (働く)意味合い
という5つの欲望を重視する。
ただし高度経済成長期の記憶のある人の場合だ。
この5つの欲望のうち、高度経済成長期の人々は主に
1、達成
2、快楽
を重視する。
今の30歳代は
3、没頭
4、良好な人間関係
5、意味合い
を重視する。
わかりやすく言えば昔はお金を稼いで高いワインで美女と乾杯するのが幸福だったが、今は自分が意味を感じることや、好きな人たちとただただ没頭することに幸福を感じている。
確かにそうだと思った。
そういう人に対して”時価総額で一番に”とか”売上目標達成のために”といっても共感や納得は得られない。
仕事に対して意味合いを持ってもらい、同じ価値観を持った人たちと没頭してもらうことが一番正しいと思う。
目標を一つにしてそこに向かって打ち込むには共感し合うのが一番ベストだが、共感を促すための達成・快楽という言葉自体が現代ではタブーに近い死語になっているといっても過言ではない。
こんなことがあった。
私の知っている職場には”仕入れ”と”レジ”の場所をスタッフが交代で受け持つオペレーションがある。
それ以外のスタッフは商品を売り場に出したり、商品化する商品をチェックしたりというのを各部署毎に行っていた。
みんな共通して”仕入れ”と”レジ”のオペレーションを嫌がる。
お客さんや業者さんとが真っ先に向かうのはこの2つのオペレーションが行われている場所であり、何よりクレームを受けるし、自分のペースではなくお客さんや業者さんのペースで仕事をしなければいけない。
そして何よりモチベーションの3、没頭4、良好な人間関係5、意味合いの欲望を満たすことはない。
この場合ならまだしも、オペレーションに関わっておらず商品を売り場に出したり、商品化する商品をチェックしたりという作業を行っているスタッフがこの3、没頭4、良好な人間関係5、意味合いの欲望を満たしていない場合は”職場のゾンビ”となって徘徊だけしている場合が多い。実際そうだった。
それを感じ取ったその組織の責任者は”仕入れ”と”レジ”のオペレーションのスタッフを固定して、そのほかのスタッフも部署もある程度作業を固定した。
”仕入れ”と”レジ”のオペレーションに固定されたスタッフは反発したが、受け入れてもらう代わりにその持ち場のデザインやレイアウトを好きにしていい権限を与えた。
そのほかのスタッフからは反発は出なかった。
テーマは”没頭”。
3、没頭と同じ意味だ。
達成するべきベクトルは違うように見えるが各それぞれのスタッフが積み上げる力はこの”没頭”というガソリンによってより良いものになっていった。
没頭し”技”に磨きがかかれば周りに認められ”権威”になる。
すると
5、働く意味合いが現れ
4、良好な人間関係の構築につながる
のを私は目の当たりにした。
私が強く感じたのは会社の目標を達成して得られる”快楽=権力”よりも個人の成績が生む”権威”の方が大事なのだということだ。
自分で手を動かしものを作って、直接人々のリアルな反応を見て一喜一憂しながら成長する。
つまりいい組織というのは没頭するチャンスがあり、それを許容する良好な人間関係があり、それを生かす意味合いがしっかりしている組織ではないかと思う。
大組織に属していても球拾いと同等の仕事しかさせてもらえない時は、自分は成長してないと思った方がいいが、まずは没頭するチャンスを得たならば直接お客様の反響を見ながらトライ&エラー繰り返さないと”権威”は手に入らない。
”権力”を持ったって”権威”がなければただの裸の王様だ。
たくさんの仕事量を短時間で終わらせないと没頭している意味はない。
質にこだわって量をこなせないのはただの言い訳だ。
私は多くの量を短時間でこなした経験がある人間のキャパシティの広さが質を生むと思っている。
たくさんの量をこなせるようになったらその時、量を少し減らして質を上げる。そしたらまた質を保ったままさらに多くの量をこなせるようになる。
私の量と質の関係はこんな感じだ。
スマホの普及で個人の技による成果が権威を持ち認知される時代に、達成や快楽を前面に出してくるような上の世代の成功&ご褒美体験談は一歩間違えば現存の社員の視界を濁らせる不純物になりかねない。
没頭するチャンスを生かしてほしい。そしてチャンスを与える側の人はたくさんの権威を育てることがこれからの人たちを知る上で重要なことだと言うことを理解してほしい。
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